2011年2月21日月曜日

禁酒セラピー

正月からほぼ毎日ランニングを続けている。
iPhoneのJognoteというアプリを使うと、
GPS機能を使って、その日走った行程を記録してくれる。

距離、時間、ペース、消費カロリーまで表示してくれるし、
瞬時にWEBサイトに記録を飛ばして、グラフが作れたりする。
そのほかにも楽しい機能がたくさんついているので、
やる気が持続できる。便利な世の中になった。

1ヶ月半が経っていろいろいいことがおきた。

まず、体重が3㎏減って体がスリムになった。
それから、朝早起きすることでリズムが生まれた。
寒い中をホッホッホッって走るのはなんかかっこいい。

中二の息子が一緒に走るようになって、親子の会話が増えた。
息子が以前より自分に自信を持てるようになってきたようだ。
なぜだか嫁さんが前ほどカリカリ怒らなくなった。

体が締まってきたらうれしくて、筋トレまで始めた。
体をケアするようになると、食事にも気を遣うようになった。
そうすると、自分の中で一つの問題が浮かび上がった。
「アルコール」だ。

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私は特別大酒飲みというわけではない。
どちらかというと弱い方だとは思う。

私とお酒の出会いは高校2年のときだ。
当時はやりのコークハイというヤツを、
友達の家に集まって深夜まで飲んだことがあった。

特別うまいと思ったわけではないが、
ポワンと浮遊感があるのは楽しかった。

それから大学一年の時。体育会の新入生歓迎コンパで、
先輩に日本酒をどんぶり一杯いっきさせられて、ひっくり返った。

その後、四年生になった時にひょんなことから
バーテンダーのバイトをすることになった。

店がはければ毎日マスターが酒を飲ませてくれた。
その時にお酒の知識と体験を得た。
面白い世界があるんだなあと思った。

社会人になって21年、恐らくほぼ毎日何か飲んできた。
たぶん、私は酒が好きなんだろう。
飲めない人はかわいそうだなと思ってきた。

異変を感じるようになったのはここ4〜5年だ。
毎晩飲まないと落ち着かないようになってきたのだ。
別に手が震えるなどの禁断症状があるわけではない。

冷蔵庫のビールや買い置きの焼酎やウィスキーがないと、
何となく落ち着かなくて、コンビニに買いに行ってしまう。
休みの前日は酔っ払って寝てしまうことも増えた。

昼間からの飲みたくて仕方がないなんてことはない。
けれど、夜になると毎晩飲みたくなる。
明らかにアルコールをコントロールできていない。

なにより体に悪いことは間違いない。
事実、深酒をした翌日はランニングがきつい。

「やめたいなあ、せめて節酒したい」

そう思って平日は飲むのをやめようと思ったが、
二日しか続かなかった。
そんなときネットで「禁酒」とたたいて見つけたのが、
この本だ。

「禁酒セラピー」アレン・カー著
http://p.tl/Sx5A

読んでみて目から鱗だった。
頭の中でものすごいパラダイムシフトが起こった。

ああ、これはすごい。
今日はここまでにしときます。
またご報告します。

2011年2月16日水曜日

河は眠らない。

何年かに一度観たくなる映画がある。

リクルートの新人時代、お客様である中小企業の社長から、
「“カッコウの巣の上で”という映画を観たことがあるか」。
と聞かれた。当時私はその映画を観たことがなかった。

「二十代、三十代、四十代、五十代と繰り返し観ると、
その度ごとに新しい感慨を抱く映画というものがあるが、
この映画はその一つだよ」。と教えてもらった。

あれからもう20年が過ぎた。
その間、“カッコウ”を3回観たが、
確かに毎回違う感想を持ったし、新しい気づきを得た。

人生にはそういうものがあるんだ知った。
繰り返し触れることで人生の本質に触れることができるもの。
本、絵画、映画、音楽、風景。社長には感謝している。

私にとってそういうものの一つに、開高健氏がある。
氏の作品との出会いは、大学一年の時。
浪人中の友達が夢中になって読んでいた短編集だった。

これまで読んだどの小説とも違う独自の筆致。
人間や、世の中、歴史さえも俯瞰した視点の高さ、
言葉の強さ、ねばり、湿度。圧倒された。

短い短編ですら、読み切るのにエネルギーを要した。
読みにくいのでも、読めないのではない。
腹に落として味わい尽くしたくなるのだ。

私にとって、「輝ける闇」と「夏の闇」は、
文学の一つの頂点だ。

のちに氏は釣り師になる。釣り師となった氏が、
アラスカの地で釣りをしながら人生を語るビデオがある。

それが「河は眠らない」だ。
何年かに一度必ず観たくなるビデオだ。
観る度に気づきがある。
そして、人生を前向きに生きる気力が満ちてくる。

「ナースログ」
「キャッチアンドリリース」
「三十代の生き方」
「失うことの意味」
「ランプの消えぬ間に生を楽しめよ」
「唯物論としての輪廻転生」
「うまくち」
「絶対矛盾的自己同一」

一本のビデオの中に人生の本質を表す、
いくつものキーワードがちりばめられている。

よろしければぜひご覧いただきたい。
なお、飲める方は傍らにシングルモルトを用意してから
ご覧になることをオススメする。

河は眠らない(開高健)
http://p.tl/eAp7